これであなたもエコノミスト!経済指標全般

重要指標をチェックしよう

景気を予測する上で欠かせない経済指標。
ここでは、消費者物価指数、企業物価指数、出荷在庫循環、景気ウォッチャー調査、
月例経済報告、金融経済月報の6つの経済指標を取り上げています。

「名前は知ってるけど、詳しいことはよく分からない」という人は、
ここで疑問を解消しましょう。

・物価の動きが分かる経済指標
消費者物価指数 小売されているモノやサービスの物価水準を表す
最も代表的な指数です。
消費者物価指数には、総合指数とコア指数があります。

コア指数とは魚介、野菜、果物の3種の生鮮食品を除いた指数です。
生鮮食品は天候などの影響により豊作・不作の波があるからです。
これに対し、総合指数は生鮮食品も加えた
消費者物価の全体的な指数です。

消費者物価指数は、消費者が購入する品物やサービスの価格を
幅広く(約600品目)データとして採用しています。
そのため、個人が物価上昇率を測るものさしとしては
最も適したものといえます。

総合指数 生活者の側から見ると、ほとんど全ての人が
消費・購入する生鮮食品を含んでいるので、
実感に近い。
コア指数 エコノミストが経済分析をする際に使う。
経済的要因よりも冷夏などの天候の影響を
受けやすい生鮮食品を除いたほうが
消費者物価(小売価格)の一般的な傾向を
分析するにはふさわしいから。

企業物価指数 企業物価とは、自動車メーカーが自動車販売会社に
車を売るといったように、
企業と企業との間で取引される商品の価格のことです。

それを指数化したものが企業物価指数です。
消費者物価指数と並んで代表的な物価指数です。

企業物価指数には、国内企業物価指数、輸出物価指数、
輸入物価指数の3指数があります。
なかでも、国内企業物価指数(CGPI)は
日銀の金融政策の参考指標ともなる重要な指数です。

CGPIはCPI(消費者物価指数)と比較して
サービスよりもモノの割合が高くなっているのが特徴です。
その結果、CGPIは需要と供給の変動に敏感で
CPIよりも大きくなる傾向があります。

また、CPIの上昇・下落といった変動は
CGPIの後追いになりがちなのですが、
その理由は原材料価格の上昇・下落といったもの製品価格に
転嫁されるまでにタイムラグがあるからです。

CGPIに影響を与える主な要因として、
為替や原油価格などの変動があります。

CGPIの
上昇要因
・円安
→輸入している原材料費が上がるため
・原油価格の上昇
→多くの企業の原材料価格を押し上げるため
下落要因 ・円高
・原油価格の下落




・景気動向が分かる経済指標
出荷・在庫循環 企業は需要予測しながら生産を調整しています。
売れ行きが伸びそうな時は生産ラインをフル稼働させて
品切れをなくし、それでも追いつかなければ
生産ラインを増やし、臨時工を採用します。

需要の伸びが続きそうなら、新たな設備投資を始めます。
工場の生産ラインを増やしたのに、
実際に予測したほど売れなかった場合、
商品は在庫として残ります。

しかし、需要予測は完璧ではなく、
予測に基づく出荷と実際の消費とには常に誤差が生まれます。
企業はこの誤差の調整弁として一定の在庫をもつように
しており、これを鉱工業製造に関わる製品在庫といいます。

よく「在庫は売上高の3ヶ月分」必要といいますが、
企業はどの程度の在庫が適切なのかを常に判断しながら
活動しているのです。

このように消費の変動に伴って在庫も変動しますが、
在庫変動は景気を読み取る上で重要な役割を担っています。
出荷・在庫は、景気の回復~上昇~後退~回復に応じて
循環し、これを在庫循環と呼びます。

在庫循環は、在庫残高を適正在庫に近づけるための
出荷抑制や在庫調整によって生じます。
また、出荷に対する在庫の量を在庫率と呼びます。

例えば、適正在庫率は「売り上げの3ヶ月分」に対して
実際の在庫率は「2か月分しかない」から
「在庫を積み上げる必要がある」というように使われます。
在庫率を指数化したものを在庫率指数と呼びます。
景気
ウォッチャー
調査
景気の変化を敏感に感じ取ることができる職業人を
景気ウォッチャーとして2,050人選び、
毎月25日~月末にかけて調査を行い、翌月上旬に発表します。

調査時点から約1週間後に公表される、
その速報性に特徴があります。
言い換えれば、現時点での出来事(猛暑や暖冬など)について
どう対応したのかをすぐに読み取ることができるのです。

景気ウォッチャーには、以下の6項目の質問への回答を求めます。
回答は、「よくなる」「ややよくなる」「変わらない」
「やや悪くなる」「悪くなる」の5つの選択肢から選ぶ方式で、
それぞれの項目に点数をつけ、集計して指数化し、
景気の体制を見ます。

指数が50以上なら景気の現状や見通しが良く、
50以下なら悪いと判断できます。

景気ウォッチャー 飲食店経営者やタクシードライバー、
スーパーやコンビニの店長、
自動車ディーラーなど


質問1 質問2 質問3
今月の景気の現状 今月の景気の方向性 景気の方向性の
判断理由
質問4 質問5 質問6
判断理由の説明 景気の先行きに
ついての判断
先行き判断の理由

月例経済報告 月例経済報告は、毎月内閣府内閣官房より発表される
景気に対しての公式な現状判断です。

この報告書のうち、主要経済指標は、
我が国経済と海外経済の2つに分かれています。

「我が国経済」の中には、GDP、個人消費、民間設備投資、
景気ウォッチャー調査を含め、12項目にわたる資料と
景気動向指数などの参考資料が報告されています。

月例経済報告の冒頭に我が国経済の基調判断という
短いコメントが載せられていますが、
微妙にコメントのニュアンスが変わっていき、
これが重要な判断基準になります。
金融経済月報 金融経済月報は、日本銀行が金融・経済情勢を
分析した資料のことで、金融政策の方針を決める
各月最初の金融政策決定会合で内容を審議し、
政策決定の基礎資料としています。

これは、日本の経済・金融の中枢である日本銀行が
景気の現状をどのように把握しているか、
特に、企業金融・民間金融機関の貸し出しなど
金融面での分析と物価の動きについてどう見ているかを
知るために大変有効です。

第一パラグラフの基本的見解は、
景気の現状を総括している意味で最も重要だと言えます。
このパラグラフは前月発表したものと比較すると、
微妙な違いを読み取ることが大切です。