景気動向指数[一致系列]

今の景気はどんな感じ?

ここでは景気動向指数の一致系列について解説していきます。
景気動向指数は、3ヶ月前と増減を比較する統計です。

計算式から分かるように、ある指標がわずか0.1%上昇してもプラスと数えます。
つまり、3ヶ月前と比較して全ての指標が0.1%上昇すれば、
景気動向指数は100%になります。

景気が上向いているか下向いているかは分かるのですが、
どのくらいの勢いがあるのかはこのパーセンテージだけでは判断できません。

したがって、景気動向指数を読む場合には、
個々の指標がどのくらい動いているのかを知る必要があるのです。


・景気動向指数の一致系列の主な経済指標
鉱工業生産指数 日本の経済構造もアメリカと同様に流通やサービス部門の
比重がGDPの60%近くを占めるまでになり、
鉱工業生産は20%程度にとどまっています。

しかし、鉱工業生産が1国の経済の中核を
なしていることは間違いありません。
鉱工業生産指数は、日本の景気の置かれた状況を
的確に表す重要な景気指標といえるのです。

鉱工業生産指数は、調査結果の発表に
1ヶ月強の時間がかかるとはいえ、
毎月公表されるという速報性・利便性に優れ、
さらに、四半期ごとに発表されるGDPのすき間を埋めることが
できるため、エコノミストに広く利用されています。

表示方法は、2000年を100とする基準年との比較になり、
101%とか98%とかというように公表されます。

各製造業が生産を増やすのは、景気が拡大し、
出荷・販売が好調に推移するためです。
逆に、生産を落とすのは出荷・販売が伸びないと考えるからです。

このように鉱工業生産指数の動きには
景気の現状・景気循環がストレートに反映します。

問題点は、基準年次における限られた536品目に基づく
算出方法であり、かつ、基準年次を100として計算する
ウェイト方式であるため、新製品が登場すると同一系統の
旧製品の生産が落ち、実際の生産活動と指数とが
乖離する傾向があるという点があげられます。
大口電力使用量 大口の電量使用量は、企業やその他法人の経済活動を
如実に反映しています。

例えば、景気が拡大していく場面では、工場の稼働時間が増加し、
労働者の残業が増え、結果として使用する電力量は増加します。

使用量そのものでは使い勝手が悪いため、
前月比の増減率で表示されることが多いようです。
調査結果については翌月発表されるため、
速報性は高くなります。

別途公表される契約電力量(消費者と電力会社との
間で結ぶ消費電力の上限契約)の増加率が
大口電力の使用量の増加率を上回ると景気は山に近く、
逆のケースは谷を脱するといわれています。

この指標の問題点は、夏場などの季節調整がされていないこと、
また、紙・セメントなど製造業の一部で使用される自家発電が
含まれていないこと、非製造業の小売・サービス業が
含まれていないことがあげられます。

好景気 工場の稼働時間
増加
社員の残業
増加
電力消費量
増加
不景気 工場の稼働時間
減少
社員の残業
減少
電力消費量
減少

稼働率指数 この指数は、製造業における生産能力と
実際の設備稼働率とを比較した操業度です。

景気の拡大局面では、出荷を延ばすため
工場の操業時間は当然増えますから、稼働率は上昇します。
それでも間に合わなくなると、新たな設備投資が必要になります。

稼働率指数は、景気、特に設備投資の先行指標となります。
また、稼働率が上昇すると、当該商品の需給が逼迫するため
インフレを引き起こす可能性が出てくるので、
インフレが起こるか否かを判断する指数にもなります。

稼働率指数が低下すれば、景気の先行きの見通しは悪くなります。
稼働率が急上昇した場合、
ボトルネック・インフレの発生する可能性があります。

景気拡大のスピードが速すぎて、生産能力が需要に追いつかない
状況に陥ることをボトルネックといいます。

つまり、景気拡大の中で、従前の生産設備では間に合わなくなり、
生産が飲み物の口のように急速に締められダウンする現象です。
これがインフレを起こす原因となることもあり
(これがボトルネック・インフレ)、
その解消のために新たな大口の設備投資がされることがあります。

このように稼働率は、景気とインフレを見る上で
重要な役割を果たしているのです。

稼働率指数の表示方法は基準年度を100として、
これとの比較で、例えば「98」や「105」になります。

基準年次から期間が経過すればするほど
産業構造が変化し、個別品目の全体における批准も
変化しますが、これが反映されない難点があります。
有効求人倍率 リストラなどで退職した人たちは、
次の就職口を求めてハローワークに出向きます。
一方、労働力を補充したい企業は
ハローワークに求人を依頼します。

このような労働市場の需給関係を表す指標として
利用されているのが、有効求人倍率です。
ただし、この統計は大学の新卒者は対象外です。

有効求人倍率の表示方法は、
調査月の求人数に対する求職者の割合で表されます。
有効求人倍率が高い場合は、景気が拡大しており、
雇用情勢が良好であることを表しています。

その逆に、倍率が低い場合は、
求職者数に対する求人数が減少していることを意味し、
景気が後退して就職が困難であることを表しています。