景気動向指数[遅行系列]

遅行系列で最後の確認をする

ここでは景気動向指数の遅行系列について解説していきます。
遅行系列は、「景気の動きから遅れて動く指標」ということです。

例えば、景気が悪くなると企業業績が悪化し、それが従業員の所得減につながります。
それがさらに消費支出を減少させます。
つまり、家計に占める消費支出の動向は景気の動きから遅れて動くのです。

「景気動向を知るためには、先行系列と一致系列だけでいいのでは?」と
思った方もいるでしょう。
しかし、遅行系列の6つの指標は景気が変動した後に確定するので、
これらの指標によって景気動向を最終的に確認できるのです。


・景気動向指数の遅行系列の主な経済指標
第3次産業
活動指数
サービス産業の活動を指数化したもので、
毎月下旬に発表されています。
サービス産業全体を対象とした総合指数のほか、
エネルギー、情報通信、運輸、金融などの業種ごとに
分類されて細分化された数値も公表されており、
そのうち対事業所サービス業(事業所からの収入が
事業収入額の3分の2以上を占める業種)の指数が、
景気動向指数の遅行系列として取り上げられています。

指数は、基準時(現在は2000年)を100として
比較する数値で表されます。

日本経済におけるサービス産業の割合は約60%を占め、
その比重はますます拡大しつつあります。
またサービス業のうち、
約65%が対事業所サービス業を占めています。

この割合からも分かる通り、
対事業所サービス業の活動指数の重要性は、
今後もますます高まるものと予想されます。

第3次産業活動
60%強
鉱工業生産
20%
その他
20%

家計消費支出 景気が拡大すると収入が多くなり、財布のひもが緩み、
消費が活発化します。
例えば、オリンピックを前にして
高価な新型テレビがよく売れるといったことがあります。
このように耐久消費財の購入が増加する時は、
景気が上向きになっていると考えられます。

逆に収入が減ってくると、家計も緊縮財政となり、
価格の高い耐久消費財への消費が減少し、
景気が後退局面に入っていると考えられます。

ただ、この指標は勤労者世帯・一般世帯の調査であり、
単身世帯・農林漁業家世帯が除かれています。
単身世帯が全世帯数の4分の1以上を占めている
現状を考えると、必ずしも個人消費全体をカバーして
いないのではないか、という指摘があります。

消費支出 日常の生活を営むのに必要な商品や
サービスを購入して、現金やカード、
商品券などで支払ったお金のこと。

食料 住居 光熱・水道 家具
家事用品
被服・履物
教育 保健医療 交通・通信 教養娯楽
その他の消費支出

法人税収入 企業の業績は、企業が国に納める税金、
法人税によって測ることができます。

法人税収入は企業の収益と連動します。
景気が拡大し、需要が増加すれば、
企業の売上高・営業利益・経常利益が増加します。
その結果、決算後に納める法人税の額も増加します。

逆に、景気が縮小すると、需要が減少し、
企業の利益も少なくなりますから、法人税も減少します。

最終的な税額が決まるのは当該事業年度終了後ですが、
通常は決算終了後2ヶ月以内に法人税を確定し納付します。
納税がこのように行われるため、
法人税の収入額は景気に対して送れて動くのです。
完全失業率 完全失業者とは、満15歳以上で働く意志があり
求職活動をしている失業者(収入なし)を指します。
したがって、失業中であっても、調査時点で就職を
諦めたような人は失業者としてカウントされません。

失業率の算出方法は、失業者数を労働力人口で割り、
パーセントで表示します。
景気が後退してくると、企業はリストラのために
余剰人員を解雇します。
解雇された人達は職を求め、失業率は上昇します。
そのため、失業率は景気の実態に遅れて反応するのです。